WERRA, I love it!


友人のHALUさんからウェラ4をシャッターがおかしいとのことで、
1週間ほど預かった。
このカメラは以前から気になっていたカメラである。ツアイスのレ
ンズが付いて、とてもコンパクトで良いデザイン。そして、巻き上
げが、レバーやノブでなく、レンズの付けねのリングを回す。どう
も、このしくみが、やや奇をてらっている感じがしていたのと、よ
く目にするのは距離計のない1型や2型で、そのへんがいま1つ買
うのを躊躇していた原因のような気がする。

この4型は距離計・ブライトフレーム・露出計・レンズ交換、おま
けに視度調節までついている。フル装備なのだ。

届いたウェラをみてみると、シャッターはチャージでき、レリーズ
できるのだが、チャージするときに、また絞り羽根が一度開きなが
ら、セットされる。これでは露光してしまう。実はこのカメラが、
もう1つ、遮光用のシャッターを持っていて、その部分がうまく作
動していない というのを、バラすまで知らなかったのだ。てっき
り(普通のほうの)シャッターの具合が悪いと思って、分解を始め
た。レンズボードというか、レンズ全体は、ボディに4本のネジと
リングネジで止められている。
それをはずして、さらに分解していくと、シャッターユニットは比
較的簡単にはずれた。いろいろ見ていくうちに、遮光用のシャッタ
ーに気付き、そこを分解・再組立をしたら、遮光用のシャッターも
正常に動くようになった。あとは、レンズをもとに戻しておしまい。
巻き上げ時にきしむような音がするのは、ボディ側の可動部分にグ
リスアップをした。
試写してみると、無限が出ていない。しかもどうも写真がどこにも
焦点があっていないような、ぼけぼけの状態。これはおかしい。
ピントグラスでみると、無限位置でもかなり近距離にピンがきてい
る感じで、要するにレンズをもう少し引っ込めなくてはならないの
だが、そんな調整の余地はない。だいいち、レンズはバヨネット交
換で、位置はぴったり決まっている。。。。

もしかして、と思い、レンズをはずして後ろ側をよく見ると、最後
部がぺったんこ。?と思い、カニ目のリングネジをはずすと、最後
の玉がポロッとはずれた。それは張り合わせの凸レンズで、片側が
球面、もう片側が平面、つまり『半月』のような形をしている。
試しにこれを、元と逆に入れて、ピントグラスを覗くと、見事に無
限が来ている。

HALUさんによると、このカメラは、レンズボードのネジも浮い
ていて、ぐらぐらしていたそうな。どうも、前の持ち主がいろいろ
いじって、直らずにそのままだったようだ。レンズも、掃除でもし
て、入れ間違ったのだろう。

再度試写。



しびれた。ツアイスの威力か。光量の少ないところで、わざと開放
で撮ったのだが、見事なシャープさと豊かな階調。これはいい。。

ウェラ4は、いいカメラだった。手にとってみると、改めてそのデ
ザインの素晴らしさを感じる。渋いグリーンの張り皮もシックだ。
フード兼用のキャップや、使いやすい露出計、2重像ではない距離
計、など、外からの特徴は触ってみればわかるし、写真をとればレ
ンズの優秀さは実感できるので、今回分解してみての、構造上のこ
とを書いてみたい。

前に書いた通り、このカメラの大きな特徴は、巻き上げがノブやレ
バーでなく、レンズの元のところの大きなリングを時計方向に回す
ことにある。
一見、この仕組みはたよりないというか、壊れやすそうな気がする
が、ワタシが思うに、これはとても理にかなった構造なのではない
だろうか。

レンズシャッターのカメラというのは、巻き上げ動作でフィルムの
巻き上げとシャッターチャージを両方行うように、改良された。い
わゆるセルフコッキングというのだろうか。それによって、2重露
光が防止され、ワンアクションで、次の1枚を撮ることができる。

通常、フィルム巻き上げはノブやレバーで、(途中にギアが1〜2
枚あるにしても)ダイレクトに巻き軸を駆動させて、フィルムは巻
き上げられる。つまり「円運動」から「円運動」である。
それに対して、シャッターチャージは、ギアやカムを介して「円運
動から「直進運動」に換えられ、また「円運動」に換えられて行わ
れる。

シャッターというのは、チャージレバーに2種類あり、初期のタイ
プや現在の大判カメラのシャッターなどは、シャッターユニットの
周囲にレバーがあり、それを円周にそって動かす。
35mmカメラ用のシャッターは改良され、チャージレバーが、シ
ャッターの後ろ側に『棒状』に突き出す形となり、それを回転させ
てチャージするようになった。そうすることにより、シャッター部
分のまわり、要するにレンズ鏡胴部分をスマートに、小型にできた
わけだ。

この、うしろがわのチャージレバーは、通常ラック&ピニオンギア
で、ボディと連結しており、巻き上げの動きに連動して、シャッタ
ーがチャージされる仕組みになっている。
この部分のギアのかみ合いがずれたりすると、正しくシャッターが
チャージされなくなる。

そこでウェラである。

ウェラのシャッターは、外周部分のレバーでチャージするタイプで
ある。巻き上げリングとこのレバーはダイレクトに爪でつながって
いて、リングを回すことによって、シャッターがチャージされる仕
組みになっている。つまり、リングの回転角は、チャージレバーの
回転角と同じ。これは、よほどのことがない限り滑ったり、余計な
力を加えて、シャッターを壊すことはないような気がする。

ではフィルム巻き上げは、というと、これがまた普通のカメラと逆
で、巻き上げリングを回すことによって、ちょうどライカビットや
その他のカメラの『トリガーレバー』のように爪を引っ掛けて、ギ
アを往復運動させ、それを回転運動に換えているのだ。

巻き上げリングは『円運動』なのだが、直径が大きいために不具合
なく、『直進運動』の内部レバーと「爪」で連動する。

こうして見てみると、「巻き上げ」と「シャッターチャージ」が、
普通のカメラと反対の仕組みで連動しているのがわかる。
フィルムの巻き上げには大きな力が必用で、実際レンズをはずした
ボディ前面から見える巻き上げの爪を手で横に動かすのは大変だが
巻き上げリングは直径が大きいため、大きなトルクでそれを動かす
ことが可能なのだ。

奇をてらったと思っていた巻き上げリングが、実はかなり合理的で
あったことに驚くとともに、その仕組みを製品として完成度の高い
デザインにまとめあげるということは、本当に大変なことだろうと
思う。

「オリジナリティ」とはこういうものだろうか。


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