Tropic of Cancer --北回帰線--

 サイパンで写真を撮っていて、ふと気付いたことがある。

 このところ、クラシックカメラ(レンズ)で撮影するようになって、いつも
順光か逆光かを気にするようになっていた。それは、露出を決めるのに、単体
露出計で測ることが多いため、最新のカメラで撮るようにはいかず、光線のぐ
あいで、露出を補正しなければならなかったり、また、古いレンズは基本的に
コーティングの問題や、ガラスの傷・内部のくもりなどで、順光ではなんでも
ないのに、逆光ではとたんにコントラストが落ちたり、フレアーが出たりする
ものがあるからだ。

 サイパンの強烈な日差しを浴びながら、撮影していたときも、そのことを考
えていた。ただ今回持っていったレンズは、CANONとTOPCONで、特
にCANONのFDレンズは、現代のレンズといっていいものだし、TOPC
ONの25mmも事前のテストで、太陽を直接写し込むと虹色のフレアーが出
るものの、逆光でもOKだったので、露出のことぐらいを考えていた。

 ところが、撮影していると逆光にならないのだ。南の太陽を浴びると、3分
で幸せになって、余計なことを考えなくなる体質のワタシは、まあこんなもの
だろうと、その時はたいして気にも留めなかった。

 帰ってきてポジを見ながら、「そーか!」とヒザを打った。
(このあとは、至極あたりまえのことですので、地理・気象・光の波長などに
 詳しい方は、お読みにならないでください)

 まず、空が青い。そう、あたりまえ。南の島の空は青い。それが撮りたくて
重い機材を抱えて、旅行に行ったのだ。
 では、なぜ空は青いのか? どうしてサイパンの空は日本より青いのか?
ということを、考えてしまったのだ。

 そもそも、空が青いのはなぜか?これは、ご存知の通り(といっても、なか
なか説明しろというと難しいのだが)太陽の光と地球の空気(大気)に関係が
ある。
 太陽の光には、赤から青までの、いわゆる7色の可視光線と、目には見えな
い赤外線・紫外線などが含まれる。
 太陽の光は、大気によって拡散、要するに乱反射する。光の色というのは、
波長の違いである。波長の違いによって、拡散の度合いが違う。波長の短い光
ほど、拡散しやすく、波長の長い光ほど拡散しにくい。
 晴れた日に自分の立っている位置から太陽を見ると、太陽からの光は、当然
まっすぐに進んでくるから、すべての色が含まれた光、つまり「白」になる。
太陽以外の空というのは、いわば宇宙を見ているわけだから、本来は真っ黒の
はずである。(夜の状態、もしくは月のように大気がない星で空を見たとき)
ところが、太陽の光が空気の分子にあたり、そこで電子を・・・・・・・・・
やめよう。

 要するに波長の短い「青い」光が、拡散しやすいため、空が青く見える。
そして、太陽の位置が高いほど、光が大気の層をまっすぐに進んでくるから、
拡散が少なく、より青く見える。だから、夏の空の方が冬より青い。そして
南(正確には低緯度)へ行くほど空は青い。

 そしてサイパンだ。地球儀で見ると、サイパン・グアムの緯度は北緯18度
くらい。北回帰線(北緯23度27分)よりも赤道に近い。ちなみにハワイ・
台湾はほぼ北回帰線の上に位置する。
 北回帰線。英語でthe 「the Tropic of Cancer」蟹座の始まる時期(夏至で
すな)に地軸がここまで傾いて太陽がちょうど、真東から上り、頭の真上を通
り、真西に沈む。つまり、もっとも太陽が高いわけだ。
 (ちなみに南回帰線は「the Tropic of Capricorn 山羊座」)

 サイパンの緯度からすると、おそらく夏至の1ヵ月ほど前に、太陽が真上に
なり、そして、その後は北に寄り、また、夏至の1ヵ月後あたりに、太陽が真
上に来るはずだ。(今まで考えたことが無かったのだが、北回帰線と南回帰線
の間の地方=熱帯 というのは、太陽が『北』(南半球なら反対)から射す時
期があるのですねえ。つまり、建物は絶対に陽が当たらないという方角がない
わけだ・・・)
 つまり、5月末と7月末というのは、サイパン・グアムではもっとも空が青
い、ということになるわけだ。

 太陽が真上を通るということで、さらに気が付いたのは、日の出・日の入り
が、実にあっけない、ということだ。夜が明け出すと、あっというまに明るく
なる。そして、夕方はなかなか暗くならないと思っていると、最後はあっとい
う間に日没となる。西海岸に面したホテルだったので、夕焼けを期待していた
のだが、これは期待はずれだった。

 はじめにもどると、日中いつも太陽が高いため、逆光になりにくい。
 これは、なかなか面白い体験だった。まあどうでもいいことなのだけれど。
Scenes of SAIPAN
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