レチナIIIcとはどんなカメラか(1)

手に入れたIIIcがあまりにきれいだったためにすっかり気にいってしまった
のですが、説明書を読みながら使い方を調べていくと、元々このカメラが
その設計がとてもよく考えられている事、そして各部の工作精度が実に
素晴らしいという事がわかってきました。
私が感じたことを書いていきます。

○フォールディング(折りたたみ)カメラでありながらレンズの繰り出し部分
 の精度がしっかりしている。

真上から見たところ
蛇腹は外からは見えません。裏ブタを開けると見ることができます。前蓋を開けると ダイキャストのレンズボードが繰り出してきます。この開け閉めは「サンダーバード」 の基地から2号が飛び出してくるシーンを思い出しました。こういうカチカチッと 機械が出てきたり、しまわれていくというのは見ていて面白いです。今のズーム付き コンパクト機もレンズがモーターで飛び出してきますが、あれはジーという音が いやだし、天狗の鼻のようなスタイルはどうも好きになれません。 レンズをたたむときはヘリコイドが一番縮んだ状態、つまり無限遠でないと閉まりま せん。少しでもレンズが出ていると、ロックがかかります。そして、蓋を閉めると 今度はシャッターがロックされます。 私はこういう、人間のミスを前提にして設計されたものが好きです。「やっぱり ドイツだ」と思ってしまいます。これは私のBMW318iについても同じ事が いえます。6年前にこの車を買ったときに感じたのは、本当に使う身になって しかも、使う人は簡単なミスをする物だということを前提にして設計されている ということでした。 例えば、ドアロック。トランクの開け閉めはかぎ穴付きのボタンを押してするの ですが、この鍵がドアと連動しているのです。つまり、車に乗る時、先にトランク を開けようとトランクの鍵を開けると、4枚のドアのロックが解除される。 車を降りる時、最後にトランクから荷物を降ろしてロックをかけると、ドアも ロックされる。このシステムだと絶対にトランクの中や室内に鍵を鍵をおいた ままロックされてしまうことがない。 実は私は過去2回、国産車で鍵を入れたままロックしてしまったことがあるのです。 このカメラにしても、ロック部分の内部のカムなど、構造が複雑になるのは承知で あえて、使う人の身になって設計されていると感じるのは私だけでしょうか。 そして、そういう色々な機械のしくみというか、カラクリ自体を作るのが、ドイツ 人は好きなのではないかと思っています。 ○レンズマウント、アクセサリーシューなどの精度 レンズマウントはバヨネットマウント、板バネが入っているため少し押し込みながら 半時計方向にまわすと外れます。前群交換のため、50mmと35mmは交換する 部分はほんとに小さなものです。それに比べて80mmは何と巨大なことか。 これでF4.0とはとても思えない大きさです。これをつけるとまるでびっくり箱から レンズが飛び出したよう。ちょっとシュールリアリスティックな迫力があります。 このレンズがまたシャンパンゴールドの鏡胴でとてもきれいなのです。 80mmはもちろんですが、小さい35mmを付けても、前蓋は閉じません。 レンズについては、別のページでもう少し詳しく説明します。 カメラのファインダーは50mmのフレームのみ。したがって35・80mmは外付け のファインダーを使用します。 これをアクセサリーシューに付ける時、なかなか入らない。要するに遊びがまったく ないのです。この事をある友人に話したら、「ポルシェもそうだったな」と言いました。 彼は、昔自動車の修理の仕事をしていたのですが、ポルシェのエンジンのクランク シャフトのガイドのオスメスの精度がすごくて、ちょっとでも傾いていたら入らなかった そうです。「国産車はスカスカなんだよね。やっぱりドイツの工作精度はすごいなあ」
ファインダーと革ケース。アメリカから買った29.5mmのフィルターは
プラケースはKodakながら、中身はなんとKenko製でした。
ファインダーの付け根のダイアルを回すと微妙にファインダーが上下に動きます。 最初わからなかったのですが、これでファインダーの光軸を傾けてパララックスを 補正しているのでした。でももちろんレンズのヘリコイドとは連動していませんから ピントをレンジファインダーで合わせてから、その距離を読み、それでファインダーの ダイアルを合わせるという厄介な手順をふまなくてはなりません。 なにもここまでしなくても、という感じです。ただ、アクセサリーシューは前から見て レンズの真上よりやや右にずれているのですが、ファインダーは足がずれてついて いるため、ちょうどレンズの真上に来るのでした。いやはやよく考えてあるものです。 このファインダーを付けると、一段とかっこいいデザインになります。 これがほんとの「アクセサリー」。 ファインダーの35・80mmの切り替えは80mm時にマスクが降りてくるだけで お世辞にも見やすいとはいえません。まるでかぎ穴から覗いているようです。 だから、80mmのブライトフレームを入れたIIICや一眼のレフレックスが作られ たのだと思います。
ファインダー接眼部。白字がm赤字がfeet表示。
その他各部の説明は取り扱い説明書のほうで。次のページはレチナのソフトの部分です。 レチナ メニューページへ