
ライキナスペシャル このカメラを 今どう評価するか? 昨今のクラシックカメラブームの発端というか頂点というか、いずれ にせよ、好むと好まざるとにかかわらず、ライカの存在は大きい。 ただ、クラシックカメラブームとはいっても、それは分類すればスチ ールカメラの世界であり、ムービーカメラは蚊帳の外である。 ほとんどのクラシックカメラファンは8mm(あるいは古い16mm) カメラなどには興味がなく、また純粋に映画製作を目指す人達にとっ ては、ムービーカメラは道具であり、コレクションをしている人は少 ないのではなかろうか。(もちろん一般論であります。例外はたくさ んいそうです。) 世の中に数多いライカファンにとって、単にライカ製品というだけで 使いもしない8mmカメラはあまり意味がないだろうし、ブランドバ リューだけで値段の高いムービーカメラよりも、実用的なフジカシン グル8機でたくさんシュートしたほうが、いい映画が撮れそうだ。 ライカに限らず、多くのカメラメーカーは60〜70年代には8mm カメラを生産していたのはご承知の通りで、キャノン・ニコン・ミノ ルタなど、高級機のラインナップも多かった。 ライカは、ダブル8時代の「ライキナ」から始まり、スーパー8にな って「ライキナスーパー」そして、最終機が「ライキナスペシャル」 である。 どの辺がスペシャルなのかというと、このカメラはMマウントのレン ズ交換が可能なのだ。これにより、M型カメラの交換レンズはもちろ んアダプターを付ければLマウントレンズも、一眼レフ用Rレンズも 使えるわけで、それらの高級レンズを8mmで使えるというのは大き な魅力である。ただ、ボリューのページに書いた通り、画角の関係で、 35mmレンズは超望遠になってしまうが。。。。 Cマウントにしなかったのは、ボリューとの差別化なのか、はたまた ネジ込み式のCマウントよりもストップ位置が確定しやすいバヨネッ ト式のMマウントの優位性を採用したのかはわからない。いずれにせ よ、キャノンもニコンもやらなかった自社の35mmカメラとの共通 マウントという仕様は、今となっては偉業とたたえるべきかもしれな い。CANONがEOSレンズが使えるビデオカメラを発売したり、 35mmカメラと共通のマウントの高級一眼デジカメが登場したのは 20世紀の最後だったのだから。。 ライキナスペシャルの標準ズームレンズはここでもシュナイダーのオ プティバロンで、もちろんマウント部は異なるものの、ボリューやニ ッツォと共通する。つまり、当時のヨーロッパの高級8mmカメラは シュナイダーのレンズにそれぞれ独自のボディを付けたともいえるわ けで、レチナ以来のシュナイダーファンのワタシとしてはうれしい限 りだ。 このレンズは、ボリューと同じようにレンズに電動のズーム・絞り機 構があり、本体とは電気接点でつながっている。電動ズームは速度が 無段階調整可能。 この他に、Mマウントながら8mm専用の『マクロシネゴン10mm f1.8』という単焦点レンズがある。マクロの名の通り、近接撮影が 可能で、その焦点距離は35mm換算で約60mmと、マクロレンズ として大変使いやすい。 上述の通り、Mマウントであるため35mm用のMマウントレンズは もちろんアダプターを使用すれば他のレンズも使えるわけだが、カタ ログには、他社製レンズ用として、M42マウントとミノルタ用のア ダプターが純正品として載っていた。今回、M42用をいっしょに入 手したので、早速M3に付けてみたが、距離計用のカムが切っていな いため、ボディのコロを押しつけるようになってしまい、装着できな いことはないが、あまりかんばしくない。やはりライキナ用というこ となのだろう。ミノルタ用があったというのは、さすが協力関係にあ った時代の製品だと思った。 Mマウントであるということで、これを現代で考えると、各種Mマウ ント・Lマウントのレンズを一眼のファインダーで目視できる唯一の カメラとしてライキナスペシャルを見ることもできる。ワタシはあま り興味がないのだが。。。 とはいえ、ALPA・Cマウントアダプターを使い、4008でオー トスイーターをALPAボディのざらついた暗いファインダーではな く、明るいクリアーなファインダーで覗いた時は、なるほどこんな風 に見えるのかと、ちょっと感動してしまった。 ライキナスペシャルのスペシャル度は、もちろんマウントだけではな く、他のカメラには見られない、3種のファインダースクリーン切り 替えなどという点にも見られる。ボリューのページにも書いたが、8 mmカメラのピント合わせは難しいので、スプリットイメージのスク リーンなどは、たいへんありがたいのだが、野外で絞りが閉じた場合 などは、プリズムに陰りが出て使いにくかったりする。スクリーンが 臨機応変に切り替えられるというのは便利な機構だ。 ワタシのNIZOの購入理由だった、コマ撮り関係の機能は、専用ア クセサリーとして、インターバルタイマーを用意して解決している。 ここまでスペック中心に述べてきたが、ライキナスペシャルの魅力は 実はそれらの機能を包み込んだ全体の作りの良さにあると思う。 剛性の高そうな金属性のボディシェルと、各部に使用されたプラスチ ック部品のコンビネーション。各スイッチの使いやすさやデザイン。 それら全体のかもしだす、高級感といおうか高品質な感触というのは 例えば、現代のメルセデスやBMWといったドイツ車にも共通する、 洗練された、大人の落ちつきのあるドイツの工業製品といった印象で ある。 おおざっぱな意見になるが、この辺がどうしても日本製品との違いに 言及せざるをえなくなってしまう。8mmカメラの時代の70年代〜 80年代に比べれば、一眼レフのフラッグシップ機などはすべての面 で世界一と言ってもいいレベルになったと言えるだろう。8mmのあ とを引き継いだビデオカメラも、そしてデジタルカメラも、機能競争 ばかりでなくこれからは、洗練された『モノ』としての方向付けが重 要になってくるに違いない。それらがライキナ的・ドイツ的な味付け と同じである必用は全く無いのだが、例えばいい年の男が夜中にそっ と手にとって、思わずため息をもらすような、そんな『モノ』を見せ てもらいたいと思っている。 ・スーパー8 ムービーカメラ ・ボリュー4008ZM シリーズ ・NIZO 801 HOME PAGE |